BizRobo! の v11.5 更新と料金:移行・代替の判断

BizRobo! は、オープン株式会社(2024 年 6 月に RPA テクノロジーズから社名変更)が 2008 年から提供している RPA です。オープンによると、Kofax(現 Tungsten Automation)の RPA 製品を日本向けに改良したもので、2024 年 12 月時点の累計導入社数は 3,000 社です。ロボットを Design Studio で作り、サーバー上の RoboServer で動かし、Management Console で管理する仕組みで、Web システムの操作を中心に使われてきました。

いま BizRobo! を使い続けるには、いくつかの作業が待っています。最新の v11.5 への更新は、新しいサーバーを用意して移す手順です。元になった製品では古いブラウザエンジンが削除され、2025 年には脆弱性も公表されました。このガイドでは、何が変わったのかを出典つきで整理し、BizRobo! に残すロボットと移すロボットの見分け方、移行の手順を解説します。

要点

  • v11.5 への更新は、新しいサーバーとテスト環境を用意し、ロボットを確かめ直す作業になる。MySQL 8.0 のサポート終了(2026 年 4 月 30 日)に合わせた Fixpack も出ている
  • 元になった Tungsten RPA では、クラシックブラウザが 11.4.0 で非推奨になり、2026.1 で削除された。WebKit も、対象のサイトが大きく変わらない間だけ使い続ける前提になっている
  • どのロボットも一度は手を入れることになる今が、ロボットごとに残すか移すかを決める時期

BizRobo! の最近の変化(2026 年 10 月時点)

v11.5 と、更新の手順

BizRobo! の Basic、Lite、mini の 3 製品は、2025 年 2 月 3 日に v11.5 になりました。ロボットを単独で実行できるようになり、Management Console との通信を HTTP トンネルで行えるようになるなど、運用と管理が簡単になっています。

公式のバージョンアップ手順書では、v10.7 以降から v11.5 への移行を、新しいサーバー環境に移す前提で説明しています。本番のサーバーにそのまま上書きする移行は、手順書では扱っていません。新しい本番サーバーを用意できない場合でも、テスト用のマシンは別に必要です。Management Console のデータはバックアップから移し、ロボットはテスト環境で動作を確かめ、必要なら Design Studio で直してから本番に移します。

2026 年 1 月には、BizRobo! Basic と Lite の v11.5 向けに Fixpack 11.5.0.7 が提供されました。MySQL 8.0 のサポート終了(2026 年 4 月 30 日)に合わせて、MySQL 8.4 を正式にサポートしています。

ブラウザエンジンの移り変わり

BizRobo! のロボットが Web ページを操作するブラウザエンジンには、クラシック、WebKit、Chromium の 3 種類があります。元になった Tungsten RPA(旧 Kofax RPA)では、古い 2 つの扱いが次のように変わってきました。

  • クラシックブラウザ:11.4.0 で非推奨になり、このブラウザで新しいロボットを作れなくなりました。2026.1 で削除され、既存のロボットも Design Studio で実行できず、2026.1 以降の RoboServer でも実行できません。動かし続けるには、ロボットを WebKit のブラウザに更新する必要があり、更新の後には、廃止されたステップやデータコンバーターの置き換えや作り直しが要る場合があります。クラシックブラウザのロボットは、オレンジのアイコンで示されます
  • WebKit:最新の Web 標準や技術に対応しておらず、静的な Web サイト向けとされています。新しいロボットは Chromium で作ることが推奨され、WebKit で作ったロボットは、対象のサイトが大きく変わらない限り使い続けられる、とされています

BizRobo! がいつ 2026.1 以降の変更に合わせるかは公表されていません。ただ、古いブラウザで作ったロボットは、いずれ更新か作り直しが必要になります。その時期は、移すかどうかを判断するよい機会です。

2025 年 4 月の脆弱性

2025 年 4 月 10 日、JVN(JPCERT/CC と IPA が運営)が BizRobo! の 3 つの脆弱性を公表しました。

  • すべてのバージョンで、ロボットファイルの中の認証情報の暗号化に固定の鍵が使われており、鍵を知る人が認証情報を取り出せるおそれがある
  • すべてのバージョンで、Design Studio のライセンス認証の処理に問題があり、Management Console 上で任意のコードが実行されるおそれがある
  • v11.1 以前では、インポート機能の処理に古いライブラリが使われており、同じく任意のコードが実行されるおそれがある。これらのバージョンは修正のサポート期間が終わっているため、バージョンアップが推奨されている

オープンは、リスクは主に社内の権限を持つ利用者によるもので、利用者の権限を管理することで大幅に下げられるとしており、回避策をナレッジベースで公開しています。

料金

公式サイトの料金表と製品の比較表では、次のとおりです(2026 年 10 月時点)。Lite と Lite+ の金額は税別です。Basic と mini の金額は比較表の表記によるもので、税の扱いは書かれていません。

製品 年間基本利用料金 主な条件
BizRobo! Lite 120 万円 同時稼働ロボット 1、Design Studio 1 シート。初期費用 30 万円
BizRobo! Lite+ 180 万円 同時稼働ロボット 2、Design Studio 3 シート。初期費用 30 万円
BizRobo! Basic 792 万円 サーバーでの実行と同時実行。初期費用は別途
BizRobo! mini 90 万円 パソコンでの実行のみ。同時実行はできない

BizRobo! に残すロボット、移すロボット

ロボットの状況 おすすめ 理由
社内のシステムを Chromium で操作し、画面がほとんど変わらず、安定して動いている BizRobo! に残して更新する 決まった操作をサーバーで大量に繰り返す強みが生きる
クラシックブラウザで作られている 作り直す時期に合わせて、移すかどうかを判断する どのみち手を入れるなら、そのときに移すほうが手間が少ない
WebKit で、社外の Web システムを操作し、画面が予告なく変わる 画面が変わっても直せる自動化に移す WebKit は、サイトが大きく変わらない間だけ使う前提になっている
直せるのが、Design Studio を扱える担当者か保守会社だけ 業務の担当者が会話で直せる自動化に移す 止まるたびに、作った人や保守会社の手が空くのを待たずに済む
相手のシステムに API や CSV の連携がある 公式の連携に置き換える 画面操作より変更に強く、速く、確実
請求書の読み取りなど、内容の判断や人の確認が要る AI と人の承認を組み合わせた自動化に移す 判断は人、操作は AI と分けられる
作った人がいない、中身が誰にもわからない まず調べて台帳に載せ、そのうえで判断する 判断の材料がないまま移すと、業務の抜けが出る

作った人のいないロボットの調べ方は「作った人がいない RPA ロボットの引き継ぎ方」で解説しています。

移行の手順

  1. ロボットの一覧と実行の記録を集める:Management Console から、ロボット、スケジュール、実行の記録とエラーを書き出します
  2. 作り直しが要るロボットに印をつける:Design Studio で、クラシックブラウザ、WebKit、Chromium のどれで作ったかと、デスクトップの操作を使うかを確かめます
  3. 認証情報の置き場所を確かめる:ロボットファイルにパスワードを入れているロボットを洗い出します
  4. 止まりやすさと影響で順番を決める:止まった回数、止まったときの業務への影響、直すのにかかる手間で、移す順番を決めます
  5. 移行ツールで移す:ロボットを読み込み、同じ手順で動くワークフローにします。操作する相手と待つ条件を言葉で書き、人が判断する所と確かめる所を明記します
  6. 1 本で確かめる:本番と同じ画面とデータで動かし、処理時間、成功率、止まったときの直しやすさを確かめます
  7. 並行稼働してから切り替える:月末などの繁忙期を含めて BizRobo! と並べて動かし、結果を突き合わせてから切り替えます
  8. ライセンスとサーバーを見直す:v11.5 用のサーバーを用意する前、または契約の更新の前に、同時稼働ロボットの数や製品を、残すロボットに合わせて見直します

各ステップの詳しい進め方は「RPA の移行・リプレイス手順」で解説しています。

ロボットの要素は、どう移るか

BizRobo! のロボット 業務の言葉で書く手順
タグファインダーで指定した要素のクリックや入力 「請求書番号の欄に入力する」のように、対象を画面の見出しで書く
ページの読み込みや要素の表示を待つ 「一覧が表示されたことを確かめる」のように、待つ条件を書く
タグや Excel の行の繰り返し 「一覧の各行について」と書き、行ごとに処理する
条件分岐 条件を言葉で書き、判断が難しいものは人の確認に回す
エラー処理 失敗したステップから再開し、担当者に知らせる
パスワードストア、ロボットファイルの認証情報 シークレットに保存し、手順の中では名前で呼ぶ。AI には値を渡さない
Management Console のスケジュール ワークフローのスケジュールとして設定する
デスクトップアプリの操作 Web と同じく、画面の見出しで対象を書く

BizRobo! と Kitewell の違い

観点 BizRobo! Kitewell
作る人 Design Studio を扱える担当者や保守会社 業務の担当者が、AI アシスタントとの会話で作り、差分を確かめて適用する
画面が変わったとき Design Studio でロボットを直す 覚えた手順で進めないとき、AI が画面を読み直して操作を覚え直し、次からはその操作を繰り返す。覚え直した操作は実行の記録に残る
認証情報 ロボットファイルやパスワードストアに保存する シークレットに保存し、AI には値を渡さない
判断と承認 ロボットの外で人が対応する 承認のステップで人が判断し、いつ、どう判断したかが記録に残る
動かす場所 サーバー(RoboServer)やパソコン macOS と Windows のパソコン、社内のサーバーや閉域網
更新 v11.5 へは、新しいサーバーに移す手順 自動で更新される
料金 Lite 年 120 万円(同時稼働 1、税別)、Basic 年 792 万円 オンプレミス 1 台 月額 5 万円(年 60 万円、税別)。1 台で複数のワークフローを動かせる

BizRobo! と Tungsten RPA の情報は、2026 年 10 月時点の公式の資料によります。製品の機能は更新されるため、最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。

更新の前に、移すロボットを決める

Descarty は、BizRobo! の更新やサーバーの入れ替えの前に、移すロボットと残すロボットを決める診断を無料で行います。Management Console のロボットとスケジュールの一覧、実行の記録、今の契約の内容をお預かりし、ロボットごとに、やめる・残す・移す・API に置き換えるを決めます。続けて v11.5 に更新する場合、Power Automate Desktop に作り直す場合、Kitewell に移す場合の 3 年間の費用を比べてお出しします。

よく止まるロボットを 1 本、無料で Kitewell に移して、動くところもお見せします。進め方と費用は「RPA からの乗り換え・移行」にまとめています。

出典

よくある質問

BizRobo! のロボットは、Kitewell に移せますか?
移せます。Descarty の移行ツールで BizRobo! のロボットを読み込み、同じ手順で動く Kitewell のワークフローにします。操作する相手と待つ条件をふだんの言葉で書くため、画面の小さな変更に強くなります。
v11.5 に更新するのと、ほかの製品へ移すのと、どちらがよいですか?
ロボットごとに決めるのが現実的です。v11.5 への更新は、新しいサーバーとテスト環境を用意し、ロボットをテスト環境で確かめてから本番に移す作業になります。社内のシステムを操作して安定しているロボットは BizRobo! に残して更新し、クラシックブラウザのロボットや、画面が予告なく変わる社外のシステムを操作するロボットは、更新の作業に入る前に移すかどうかを判断すると、同じロボットを二度直さずに済みます。
クラシックブラウザで作ったロボットは、どうなりますか?
BizRobo! の元になった Tungsten RPA(旧 Kofax RPA)では、クラシックブラウザは 11.4.0 で非推奨になり、2026.1 で削除されました。2026.1 以降の RoboServer では、クラシックブラウザのロボットは実行できません。BizRobo! がいつこの変更に合わせるかは公表されていませんが、いずれは WebKit などのブラウザへの更新か、作り直しが必要になります。
BizRobo! と Kitewell は併用できますか?
はい。BizRobo! で安定して動いているロボットは残し、止まりやすいロボットや、Design Studio を扱える人しか直せないロボット、判断や承認が要る業務だけを Kitewell に移せます。すべてを一度に置き換える必要はありません。
BizRobo! の料金はいくらですか?
公式サイトの料金表では、BizRobo! Lite が年 120 万円(同時稼働ロボット 1)、Lite+ が年 180 万円(同時稼働ロボット 2)で、いずれも別に初期費用 30 万円がかかります(税別)。同じページの製品の比較表では、BizRobo! Basic の年間基本利用料金は 792 万円、BizRobo! mini は 90 万円です(2026 年 10 月時点)。
移行にはどのくらいの期間がかかりますか?
移行の診断と、よく止まるロボット 1 本を移して見せるところまでは無料です。本番の切り替えは、月末などの繁忙期を含む並行稼働を経てから行うことをおすすめします。BizRobo! の契約の更新日や、v11.5 用のサーバーを用意する時期から逆算して計画します。

止まっているロボットのことを、ご相談ください

1 本目は、移して動かすところまで無料です。移さないと決めても、そのロボットの説明は手元に残ります。