取引先ごとの Web-EDI から受注を集めて一元化する方法

取引先ごとに、発注の受け取り方が違う。A 社は自社の発注システム、B 社は Web-EDI、C 社は取引先ポータル。毎朝それぞれにログインして注文を確かめ、CSV をダウンロードし、形式をそろえて販売管理に入れる。取引先が増えるほど、朝の作業が長くなります。

この記事では、取引先ごとのサイトから受注を集めて 1 つの一覧にまとめる自動化を、実際に動かした記録とともに解説します。

要点

  • 取引先が API やファイル配信などのデータ連携を用意しているなら、画面を操作する自動化より先にそれを使います
  • 画面を操作して集める場合、手間がかかるのはログインの違いです。ID とパスワードなら無人で動かせ、ワンタイムパスワードはコードの入力だけを人が行います
  • 3 つのサイトで実際に動かしたところ、1 回目は AI が手順を覚え、2 回目からは覚えた手順を AI を使わずに再生しました

まず確かめる:画面を操作しない方法

取引先が、受注データをファイルで受け取る方法を用意していることがあります。流通業界の標準 EDI である流通BMS は、流通BMS 協議会の推計で、導入した卸・メーカーが 2025 年 6 月 1 日時点で 2 万 1600 社を超えています。API や、SFTP・メールでの CSV の配信に対応している取引先もあります。

こうした方法が使えるなら、画面の変更で止まることがなく、件数が多くても安定します。画面を操作する自動化は、データ連携がなく、サイトにログインして見るしかない取引先のためのものです。

サイトごとに違うもの

3 つの取引先のログイン画面。取引先ログイン、Web-EDI サインイン、お取引先さま サインインと、見出しも入力欄の名前もボタンの文言も違う

取引先のサイトは、見た目も手順もそろっていません。

  • ログイン:ID の呼び方(ログイン ID、利用者 ID、メールアドレス)、ボタンの文言、追加の認証の有無
  • CSV の形式:列の名前と順番、日付の書き方、数量の単位(ケース数と入数で受ける取引先もある)
  • 利用規約:自動での操作を認めているか(自動化の前に確かめる利用規約)

ログインの種類ごとの扱い

ログインの種類 自動で動かせるか Kitewell での扱い 社内で決めること
ID とパスワード 動かせる パスワードはシークレットとして PC に保存し、ブラウザーが入力する。AI にはパスワードの名前だけが渡る 自動化に使うアカウントを、取引先に発行してもらえるか
ワンタイムパスワード(メール・SMS・アプリ) コードの入力だけ人が行う 実行がコードを尋ねて止まり、担当者が実行の画面でコードを入れると、同じブラウザーのまま続きを進める コードを受け取る人と、受け取れる時間帯
クライアント証明書 証明書を入れた PC なら動かせる 端末の設定で、サイトごとに証明書を登録する 証明書を入れる PC と、その管理者
IP アドレスの制限 許可された回線の PC なら動かせる 自社の PC で動くため、社内の回線のまま使える 許可リストへの登録を取引先に依頼するか
画像認証などのボット対策 動かさない サイトに拒まれた場合は、拒まれたことを実行の記録に残して止まる 取引先にデータ連携を相談する

ワンタイムパスワードのコードは実行の記録に残るため、短い時間で使えなくなるコードにだけ使います。パスワードを実行の画面で入力することはしません。

実際に動かした記録

2026 年 10 月 19 日に、この記事のために用意した 3 つの模擬サイトで動かしました。食品卸が、スーパー、食品卸、ホームセンターの 3 社から注文を受けている想定です。3 社とも ID とパスワードでログインし、1 社はワンタイムパスワードも求めます。サイトは 1 台の Mac の上で動かし、Kitewell も同じ Mac で動かしました。AI のモデルは Claude Sonnet 5.5 です。

ワークフローは、3 社のサイトからそれぞれ CSV をダウンロードする 3 つのブラウザーのステップと、それらを 1 つの受注一覧にまとめるステップの 4 つです。

1 回目の実行。3 社のサイトからの取得が 15 秒、14 秒、14 秒で成功し、受注一覧へのまとめが 1 秒未満で成功している

ワンタイムパスワードを求めるサイトでは、実行がコードを尋ねて止まります。担当者がコードを入れると、ブラウザーは開いたままのページで続きを進めます。

実行の画面の「あなたの対応待ち」。ひかり食品から届いた 6 桁の確認コードの入力を求めている

1 回目(AI が手順を覚える) 2 回目(覚えた手順を再生)
丸栄ストア 15 秒 8 秒
ひかり食品(ワンタイムパスワード) 14 秒 11 秒
港北ホームセンター 14 秒 8 秒
AI を使わずに動いた操作 3 社とも、ページを開く・確かめる・ダウンロードのみ 3 社とも、すべての操作(7 / 7、9 / 9、7 / 7)
AI のモデルが使った量 3 社で計 約 3 万 3 千トークン 0

3 社の取得は並行して進み、時間にはワンタイムパスワードを人が入力するまでの待ち時間を含みません。1 回目は、どこに入力しどこを押すかを AI が画面から判断し、その操作を記録しました。2 回目は記録した操作をそのまま再生したため、AI に問い合わせていません。画面が変わって記録した操作が見つからないときは、その操作だけを AI がもう一度探します(RPA が画面変更で止まる理由)。

2 回目の実行。3 社のサイトからの取得が 8 秒、11 秒、8 秒で成功している

CSV の形式をそろえる

3 社の CSV は、列の名前も数量の持ち方も違いました。まとめるステップで、次のように共通の列に置き換えます。

共通の列 丸栄ストア ひかり食品 港北ホームセンター
発注番号 発注No order_id 伝票番号
納品日 納品予定日 delivery_date 納品日
納品先 納品先 ship_to 店名
商品コード JANコード item_code 商品CD
数量 発注数 qty ケース数 × 入数
単価 原単価 unit_price 単価

結果は、3 社 9 行の受注一覧(CSV)になりました。この記録は一覧を作るところまでで、販売管理への取り込みは含みません。取り込みは、販売管理の CSV の取り込み機能を使うか、取り込みの画面を操作するステップを加えます。

向かない場合

  • 取引先がデータ連携を用意している:流通BMS、API、ファイル配信のほうが安定します
  • ワンタイムパスワードを毎回求められ、人のいない時間に動かしたい:コードを入れる人が要るため、無人にはなりません
  • 画像認証などで自動の操作を拒むサイト:自動化しません
  • 1 日の件数がとても多い:画面を操作する方法より、データ連携のほうが向いています

まとめ

  • 取引先ごとの受注サイトは、まずデータ連携がないかを確かめ、ない取引先だけ画面を操作して集めます
  • ログインの種類で扱いが変わります。ID とパスワードなら無人で動き、ワンタイムパスワードはコードだけを人が入れます
  • 1 回目に AI が覚えた手順は、2 回目から AI を使わずに再生されます

この集計を、決まった時刻に人がいなくても動かす方法は、「Power Automate Desktop の定期実行」で同じサイトを使って記録しています。

PoC では、貴社の取引先のサイト 1 つから始めて、実際の画面とデータで確かめます(先行利用パートナー様募集)。関連する活用例は、小売各社の Web-EDI からの受注の取り込みをご覧ください。

出典

先行利用パートナーとして、貴社の業務で確かめる

本番と同じ画面とデータで Kitewell のワークフローを動かし、処理時間、成功率、止まったときの直しやすさを一緒に測ります。

画面の変更で止まるロボット、API のないシステムとの連携、判断や承認が要る書類の業務から 1〜3 件を選び、本番と同じ画面とデータで Kitewell のワークフローを動かします。

お願いすること

  • 対象業務の窓口となるご担当者(1名)
  • 検証用のアカウントと、対象の画面へのアクセス
  • 本番に近いサンプルデータ
  • Kitewell を動かす端末
  • 利用する AI モデルの API キー、または社内のモデルサーバー
  • 検証中の定期的なフィードバック
  • 共同検証事例の公開へのご協力
3 社・2027年3月31日まで

貴社の業務で、Kitewell を一緒に検証する

  • 開発者が直接、ヒアリングから本番への移行まで支援します
  • 業務に必要な機能は、優先して Kitewell 本体に追加します
  • 結果は共同検証事例として公開します(社名を伏せた公開もできます)
  • 費用は、対象業務と規模をうかがったうえで個別にご相談します
  • Kitewell は現在パブリックベータ(0.x)です。機能や画面は変わることがあります

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