RPA のロボット管理台帳:15 項目の書き方とテンプレート

RPA のロボットが 10 体、20 体と増えてくると、どのロボットが何をしていて、誰が面倒を見ているのかがわからなくなります。作った人が異動したあとに止まり、初めて存在に気づくロボット、いわゆる「野良ロボット」です。

これを防ぐ基本の道具が、ロボット管理台帳です。すべてのロボットを 1 行ずつ、何をしているか、誰が責任を持つか、止まったらどうするかを書いた一覧です。この記事では、台帳に書く 15 項目と書き方、更新のタイミング、形だけにしないための運用のルールを解説します。記事の内容をそのまま使える Excel のテンプレートも用意しています。

ロボット管理台帳とは

ロボット管理台帳は、社内で動いているロボットの一覧です。1 体を 1 行にして、名前、動く周期、業務の内容、入力と出力、責任者、止まったときの対応などを記入します。

台帳があると、次のことができるようになります。

  • 全体を把握する:いくつのロボットが、どの業務で、どのシステムを操作しているかがわかる
  • 止まったときに動ける:誰に連絡し、どう代わりに処理するかがすぐわかる
  • 引き継げる:担当者が替わっても、何を引き継げばよいかがわかる
  • 説明できる:監査や内部統制の確認で、ロボットの管理状況を示せる

台帳に何を書くかには、公的な手本があります。金融情報システムセンター(FISC)は、金融機関向けの『RPA 導入にあたっての解説書』の検討資料(2019 年 12 月)で、ロボット名称や稼働周期から委託先、法令・規制の影響まで、40 を超えるロボット管理項目を挙げています。そのうえで、台帳はロボットの利用開始前までに作り、改修や担当者の変更のたびに内容を更新し、定期的に棚卸しする必要があるとしています。

自治体向けには、総務省の『自治体における RPA 導入ガイドブック』(2025 年 7 月)が、担当職員の異動でメンテナンスされずに放置されたロボットを「野良ロボット」と呼び、セキュリティ上のリスクにもなりかねないとしています。

この記事とテンプレートでは、FISC の管理項目から、業種を問わずどのロボットにも欠かせない 14 項目を選び、ロボットの状態を加えた 15 項目を使います。

台帳に書く 15 項目

項目 書くこと 記入例
ロボット名称 何をするロボットかがわかる名前。作った人や部署ではなく、業務で名付ける 受取請求書の登録
ロボット ID 社内で重ならない番号。RPA 製品のシナリオ名やファイル名と対応がつくようにする RB-0012
稼働周期 いつ動くか。手動で起動するなら、その旨と起動する人 毎営業日 9:00
状態 稼働中・一時停止・停止・廃止 稼働中
稼動後続条件 このロボットの後に続く処理や、結果を受け取る業務 続けて「支払予定表の作成」が動く
業務内容 何を、どこから、どこへ。手順の要約を 2〜3 行で 取引先から届いた請求書 PDF を読み取り、会計システムに伝票を登録する
インプットデータ・アウトプットデータ 読むファイルや画面と、作るファイルや登録先 入力:共有フォルダの請求書 PDF/出力:会計システムの伝票
管理責任者・担当者 責任者と、実際に面倒を見る担当者の両方 責任者:経理部長/担当:経理部 佐藤
委託先 作成や保守を外部に任せている場合の会社名と契約期間 なし
エラー時対応方針 止まったとき、誰が何をするか。手作業で代わりに処理する手順があるか 経理部が手入力で処理し、情シスに連絡する
業務における重要性 止まったときの影響の大きさ(高・中・低)と、その理由 高(月末の支払に影響)
顧客影響 社外の顧客や取引先に影響が出るか なし
接続システム・アプリケーション名 操作する画面やシステムの名前。URL やバージョンも 会計システム(Web 版)、共有フォルダ
法令・規制の影響有無 誤った処理が法令や規制に関わるか あり(会計・税務の記録)
ドキュメント類 手順書、設計書、引き継ぎ書の置き場所 共有フォルダ「RPA/RB-0012」

FISC の管理項目には、ほかにも稼働時間、利用開始日、更改履歴、業務フロー、取扱件数、導入前後の効果などがあります。金融機関のように厳密な管理が求められる場合は、これらを足して使います。

書くときのコツ

  • ロボット名称は業務で付ける:「佐藤さんのロボット 3」では、佐藤さんが異動したら意味を失います
  • 責任者と担当者は必ず埋める:空欄の行は、野良ロボットの予備軍です。担当者が 1 人なら、もう 1 人を決めます
  • 接続システムは具体的に:「会計システム」だけでなく、Web 版かデスクトップ版か、社外のサービスなら URL まで書くと、相手の画面が変わったときに影響するロボットをすぐ探せます
  • エラー時対応方針には、手作業での代わり方を書く:ロボットが直るまでの間、業務を止めないためです

更新するタイミング

台帳は作った時点から古くなり始めます。次のタイミングで更新すると決めておきます。

タイミング 見直す項目
ロボットを作ったとき・変えたとき すべての項目。特に業務内容、入出力、接続システム、ドキュメント類
担当者が異動・退職するとき 管理責任者・担当者
操作する相手のシステムが変わるとき 接続システム、エラー時対応方針
ロボットを止めた・廃止したとき 状態、稼動後続条件
年に 1 回の棚卸し 業務における重要性、顧客影響、法令・規制の影響。実際に動いているロボットとの突き合わせ

変更の内容は、台帳とは別に変更履歴として残します。テンプレートには、日付、ロボット ID、変更の内容、変更した人、確認した人を記録するシートを付けています。

台帳を形だけにしない運用のルール

台帳を作っても、更新されなければすぐに実態と離れます。次のルールを決めておくと、続けやすくなります。

  1. 台帳に載っていないロボットは動かさない:新しく作るときは、台帳への記入を本番で動かす条件にする
  2. 変更を承認する人が、台帳の更新を確かめる:ロボットの変更と台帳の更新を、同じ手続きにする
  3. 異動の連絡で台帳を開く:人事異動の連絡を受けたら、その人が担当するロボットを台帳で探して担当を付け替える
  4. 管理ツールのデータと突き合わせる:RPA の管理サーバーにある実行の記録と台帳を年に 1 回比べ、台帳にないロボットや、台帳にあるのに動いていないロボットを見つける
  5. 項目を増やしすぎない:最初は 15 項目でも多ければ、名称、業務内容、責任者・担当者、接続システム、エラー時対応方針の 5 つから始め、後から足す

よくある失敗

  • 最初に作って、それきりになる:導入プロジェクトの最後に作られ、その後の変更が反映されない
  • 担当者の欄が個人名だけ:その人がいなくなると、責任の所在がわからなくなる
  • 手順書が台帳とつながっていない:台帳から手順書の場所がたどれず、結局シナリオを開いて読み解くことになる
  • 情報システム部門だけで作る:業務の重要性や、止まったときの代わり方は、業務部門でないとわからない

作った人がすでにいないロボットを台帳に載せるときの調べ方は「作った人がいない RPA ロボットの引き継ぎ方」で解説しています。

Excel テンプレート

この記事の 15 項目をそのまま使える Excel テンプレートを、資料ダウンロードのページから無料でダウンロードいただけます。

  • 台帳のシート:15 項目、記入例、状態や重要性の選択肢つき
  • 記入のしかたのシート:項目ごとの書くことと、見直すタイミング
  • 変更履歴のシート

Kitewell なら台帳を書き出せる

Descarty の Kitewell では、すべてのワークフローを、FISC の管理項目に沿ったロボット管理台帳として Excel に書き出せます。名前、ID、稼働周期、状態、後続のワークフロー、業務内容、読み書きする Excel、接続するシステム、ワークフローについてのナレッジは、ワークフローの定義から自動で埋まります。管理責任者、委託先、エラー時対応方針、業務における重要性、顧客影響、法令・規制の影響のように人が決める欄は、空けたままにしてあります。

台帳を手で更新し続ける手間がなくなるため、変更のたびに台帳が古くなる問題が起きにくくなります。従来の RPA と AI RPA の違いは「RPA の課題」をご覧ください。

まとめ

  • ロボット管理台帳は、すべてのロボットを 1 行ずつ、何をしていて、誰が責任を持ち、止まったらどうするかを書いた一覧
  • FISC の管理項目から選んだ 15 項目を書く。特に、責任者と担当者、接続システム、エラー時対応方針は必ず埋める
  • 作ったとき、変えたとき、異動のとき、相手のシステムが変わるとき、年 1 回の棚卸しで更新する
  • 台帳に載っていないロボットは動かさない、変更の承認と台帳の更新を同じ手続きにする、といったルールで形だけにしない

出典

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